大判例

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仙台高等裁判所 昭和29年(う)274号 判決

職権を以て調査するに、原判決は被告人は昭和二十八年四月十九日施行された衆議院議員選挙に際し、宮城県第二区から立候補した角田幸吉の選挙運動に従事したものであるが、同候補者に当選を得させる目的を以て同人の為投票並びに投票取纏方の選挙運動を依頼する趣旨で、その酬報して昭和二十八年四月一日頃本吉郡十三浜村字小室六番地武山忠兵衛方において同人を介し選挙人武山孝一に対し金千円を供与したとの公訴事実につきその犯罪の証明がないから無罪を言渡すべきであるところ右は併合罪として起訴されたものではあるが審理の結果右行為は原判示第二の三の事実と同一目的で同一人に対し僅か数時間に於て授受されたもので単一の犯罪と認むべきであるから主文に於て無罪の言渡をしない。と説示し主文においては無罪の言渡をしなかつた。しかしながら数個の公訴事実が一罪として起訴されたが、数罪として起訴されたかは、もともと起訴の範囲や、内容の解釈の問題であるから起訴状(起訴後、訴因の修正等により起訴状の修正が行われたときは、その結果をも参酌すべきはもちろんである)そのものの解釈によつて決すべきもので裁判所が審理の結果認定し得た事実関係を基準として決すべきものではない、そして併合罪の関係にある数罪が起訴された場合にはそれが一個の起訴にかかるときでも、刑事訴訟法第三百七十八条第三号の 「審判の請求を受けた事件」の数としては、その併合罪の各々が一個と計算されるのであり、又同条号に審判の請求を受けた事件について「判決」するとは、単に理由において、その有罪無罪の判断を示すだけでなく、主文の中にその判断を示すことをいうことはもちろんであるからその併合罪にあるものに対する判断が主文の中に示されていなければ審判の請求を受けた事件について判決をしないことになるわけである。故に本件において被告人が武山孝一に金千円を供与したとの公訴事実が原判示の各事実と併合罪の関係に在るものとして起訴せられたものであり、原審もそのように解しながら、判決において右金千円供与の事実につき理由において前敍の説明をしたのみで主文において無罪の言渡をしなかつたことは、審判の請求を受けた事件について判決をしなかつたことに帰するのである。即ち原判決は刑事訴訟法第三百七十八条第三号に所謂審判の請求を受けた事件について判決をしなかつた違法あるもので原判決はこの点で破棄を免れない。

〔後略〕

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